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zoom RSS 「日経社説を読む」日記 #7

<<   作成日時 : 2009/09/08 03:48   >>

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日本経済新聞・社説(09/09/06)
 ■自民党が政権奪還を目指すなら…
 ■自由貿易の後退に危機感を

1)「自民党が政権奪還を目指すなら…」について

社説の説くところ、
 過日の衆院選結果=「歴史的大敗」を踏まえ、政権担当能力を有する二大政党制確立を念頭に、
 同党が政権奪取を目指す建設的野党たるべく体質改善を要望し、
 党総裁選をもって、国民の支持を失った原因について徹底的に議論し、政策論争の資質を有する指導者を選出する機会
 と論ず。*

論旨の記するところを要するに、
自民党の政権担当政党モデルが時代とそぐわないミスマッチを生じながら
「過去の成功体験」に捉われたことがモデルチェンジを妨げ、
その結果、国民の信任を得られなくなった、と読める。

「成功体験」の自縛という
ビジネスモデル論を援用すれば、その論旨の説く通りなのだが、
問題は、そのモデルが通用しなくなっていることなど一昔前からの自明の事柄であり、
にもかかわらず、自己変革を為しえなかったその事実が、
有権者をして政権担当能力無し、と判断させるに至っただけに、なお根深い。
念の為お断りしておくが、ブログ主は、
別段、自民党を敵視するわけでもなければ、民主党政権誕生を歓迎するわけもない。
冷静に有権者の投票行動という結果を真摯に受け止めれば、
「もはや今の自民党では駄目だ」という審判が下されたもの、と読み取らざるを得ない、
それだけのことだ。

社説は続けて
『自民党が最優先に取り組むべき課題は、日本をどういう国につくり替えていくのかという骨太の政策論争』
と論ず。
如何にも「国のあるべきカタチ」を語らな過ぎたこと、まさしくその通り。

確かに、与党として保守政党として「現状維持とその発展」を志向する限りにおいて、
「国のあるべきカタチ」なぞ敢えて語らなくても利害調整で済んだ時代はあった。
派閥に功罪あれども、「三角大福中」時代には派閥が政策集団として機能する党内連立政党であり、
また機に臨み党内政権交代をしてきたその構図が、自民党長期政権を支えてきたことも見逃せない事実である。
中選挙区制から小選挙区制への移行が、派閥の存在理由を希薄にし、結果政策集団として機能を奪っていく要因ともなり得た。
しかしながら、一国の命運を握りその舵を取るべき勢力が、
「国のあるべきカタチ」を語らないなぞ、極めて異常な事態であり、
派閥の罪を強調するあまり、当の当事者が「政策集団として」結束することを軽視してこなかったか、疑問なしとしない。
元より人間が集団を形成する限り、そこに派閥が出来ないことの方が不自然なのだ。
まして200や300を越える人間集団が、端から志向する政策を一つにしているなぞ、全体主義政党ですら不自然だ。
論旨は、初手から「政策論争」の資質を有する指導者を要求するが、
政策集団の形成なくして、何ゆえにそのような指導者がぽっと誕生するというのであろう。

また社説の説くところ、
『民主党の最大の弱点は長期戦略や外交・安全保障政策』と痛烈な批判を浴びせ、実際そのように思われる。
しかしながら、その痛烈な批判は返す刀で自民党をも切って捨てることになる。
つまり、
現実の有権者の投票行動の結果を読み解く限りは、
「生活安全保障」を掲げた民主党を政権担当政党として選択し、
その点において、自民党の「生活安全保障」能力は民主党よりも劣る、という意味になる。

社会契約論に依拠する限り、
国家の存在理由は「生命の安全保障」と「生活の安全保障」にあり、
政府与党はその体現者に位置づけられる。
「国のあるべきカタチ」を語らない政党が、如何にして国家の存亡という「生命の安全保障」を図れるというのか。
また同様に、如何にして長期戦略を建てて実現できるというのか。
つまるところ、現状では、
自民党の能力では「生命の安全保障」も「生活の安全保障」も劣る(若しくは無い)
ということになってしまわないですか?ということ。

勿論、有権者の選択が一過性の政権交代に意味がある、とみることも充分に出来るのだが、
その場合であっても、
「国のあるべきカタチ」を語らない、ではお話にならないわけで、
その前提として、政策集団としての再評価と再編成は議論されて然るべき、とは考える。
少なくとも、一足飛びに、「政策論争」の資質を有する指導者を要求するよりは現実的な選択ではなかろうか。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2)「自由貿易の後退に危機感を」について

社説の説くところ、
 WTO閣僚会議により、中断中の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)再開が見込まれるが、
 世界同時不況の状況下に於いて、利害の対立する主要国の間で保護主義的動向が懸念される
 と論ずる*

どうにも論の説くところがぱっとしない印象。
そもそも、一国の通商政策に於いて、自由貿易or保護主義という二者択一関係にあるわけではなく、
自国の国益を最大限に図るために、国際協調の枠組みに抵触しない範囲で自国の産業を保護する、
というのが主権国家の行動原理なのではないのか、と。
勿論、自国の産業を保護するあまり、敵対してしまうこと自体が国益に反することにはなる。
しかしながら論説の帰結する
『説得力ある通商政策の方針を示すべき』
との結び、それ自体が説得力がないように思えて仕方が無い。
詰まるところ、
利害の調整という観点からは、実体において「公正な」指針なぞ観念できず
rule-makingという手続面での調整原則の確保に向けて努める、
としか謂い様が無いように考える。

例えば、一国の国内問題においてすら
「消費税(一般間接税)は5%が良いですか?20%が良いですか?」と
問うてみてもさして実益のある議論にならない。
それは低負担低福祉政策を志向するか、高負担高福祉政策を志向するか、の選択の問題であって、
どちらが優れているとかいないとかという類の問題ではない。
そしてまたその国の産業構造や景気情勢にも拠り、良薬にもなれば毒にもなる。
一概に実体基準なぞ有効解を求めてみても詮無きこと。
ましてや、利害関係も対立する多国間に於いておや。
それが分からぬ論説者でもあるまい、と思うがゆえに歯切れの悪さが気にかかる。

現実的な国際情勢として、FTA締結推進が全方位的に為されているというよりも、
世界はブロック経済圏に移行・形成しつつあるのが実情で、
FTA締結というのは、むしろ一本釣りで味方に引き込んでいる、というお話ではないのか?
とすら思う。
現に「東アジア域内協力」構想における枠組み構成が
ASEANなのか同+3なのか同+6なのか、を巡る綱引きというのは
ブロック経済圏をどのようなかたちで形成するのか・その枠内に自国は入れるのか・対立国は排除するのか、
という問題ではなかったか?。

国際分業が進めば共存共栄できると短絡的に導き出すのは、あまりに夢見がちなお話になってしまう。
モノカルチャーが文字通りに単一monoではないにしても主要産業の構成が単純になればなるほど
その主要産業の栄衰が国家の力に与える影響は大きく、安定という観点からはリスクを負うことになる。
更には、当該国の産業構造が生産主導型か流通主導型かによって利害は不一致となるし、
同じ生産主導型といっても農業主体なのか興行主体なのかによっても国情は異なる。
まして、よほどに貿易立国に特化していない限りは、結局のところ国家の経済力は内需の拡大に負うところが大きいわけだが、
その内需の拡大は、少子化問題の解決か高付加価値商品の創造か(若しくはその双方充足)に拠らざるを得ない。
そして、その高付加価値商品の創造というも技術革新の産物であるのが通常なところ、
安い労働力で高い技術力を確保し続けるというのは至極至難。

何度読み返してみても落ち着くところ、
rule-makingという手続面での調整原則の確保に向けて努める、
としか謂い様が無いように考える。

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なお
本稿シリーズにおける基本姿勢と方針については

「日経社説を読む」日記 #0・稿

ご参照 願います。
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